【独自調査】生成AI活用、プロンプトだけで対応できる業務は34%

最先端アルゴリズムの社会実装に取り組むAIスタートアップ、株式会社Lightblue(代表取締役:園田亜斗夢、本社:東京都千代田区、以下「Lightblue」)は、生成AIを導入済み、または導入を半年以内に予定している法人を対象に、生成AIワークショップを開催し、その活用方法を模索してまいりました。ワークショップに参加した36社から抽出した1,281件の「生成AI活用アイディア」を、具現化に必要な技術の観点から集計・分析した結果、生成AIのプロンプトだけで解決できる施策は約34%にとどまり、RAGによる独自データ参照やシステム開発の重要性が浮き彫りとなりました。

調査概要

  • 調査概要:生成AIに代替・効率化可能な業務割合に関する実態調査
  • 調査期間:2023年9月1日 ~ 2024年5月31日
  • 調査対象:上記ワークショップへの参加企業36社/1,281活用アイディア
  • 調査方法:Lightblueが提供する「生成AIワークショップ」の参加企業から想定活用アイディアを抽出のうえ、実現方法を以下の4分類で整理

 (1)プロンプトだけで対応できる業務
文章の構成、資料のドラフト作成、議事録の要約、翻訳、コードの作成など

(2)RAGによるデータベース参照が必要な業務
過去の議事録や提案書の検索・要約、業務ノウハウの活用、マニュアル検索など

(3)システム開発が必要な業務
顧客サポートの自動化、CMSと連携したコンテンツ生成、Eコマースのパーソナライズなど

(4)独自の大規模モデルの開発が必要な業務
医療など特定の領域に特化した活用、特定のニュアンスの習得によるコンテンツ生成など

調査結果

調査の結果、現場の業務課題に対する解決策として、以下のことが明らかになりました。

  1. 生成AIツール(OpenAI ChatGPTやGoogle Gemini、Anthropic Claudeなど)のプロンプトだけで対応できる業務は、全体の約34%に過ぎない。
  2. RAGによるデータベース参照によって独自データを活用することで実現できる業務は約41%に達する。独自データを連携したうえでプロンプトを用いることで、想定業務の75%程度が実現できる。
  3. 生成AIの機能を既存の業務システムやワークフローと組み合わせるなど、システム開発によって実現できる業務の活用ニーズは約22%存在し、様々なシステムと生成AIの連携を模索する必要性がある。
  4. 独自の大規模モデルなど高度な開発が必要となる業務は全体の3%と割合としては小さいものの、情報の専門性や機密性の観点からその必要性は高い。各企業が自社に最適な方法を模索することが重要である。

調査背景と調査結果についての解説

2022年末のChatGPTの登場を皮切りに、ビジネスシーンにおいて生成AIの注目が急速に高まっています。しかし、その注目度に反して、企業による生成AIの活用は一向に浸透していないのが現状です。この背景には、自社に特化した活用が難しい、社内のデータを踏まえた出力を生成できない、プロンプト(指示文)を毎回入力する必要があるなど、よりカスタマイズした活用に課題があることが挙げられます。
そこで、Lightblueはワークショップを通じて参加企業から集めた生成AI活用アイデアを分析し、どの程度の業務の自動化・効率化が可能なのかを調査しました。その結果、単にChatGPTなどの生成AIツールでプロンプトを用いるだけでなく、RAG(Retrieval-Augmented Generation) やシステム連携により、社内のナレッジに基づいた出力を生成したり、社内ツールに生成AIを組み込むことで、生成AIの活用領域が広がることが判明いたしました。
RAGは、注目されているAI関連技術の一つで、情報検索と生成を組み合わせることで、社内の情報に特化した出力が生成可能です。RAGでは、まず、ユーザーの質問に対して、データベースから関連する情報を探し出します。次に、その情報を基にして、自然な文章で回答を作成します。これにより、正確で文脈に合った答えを提供することができます。
例えば、カスタマーサポートでは、RAGを使って社内の情報を参照し、顧客の質問に迅速かつ正確に答えることができます。これにより、サポートの効率が上がり、顧客の満足度も向上します。また、社内での情報検索にも役立ち、必要な情報をすぐに見つけて業務を効率化できます。RAGは情報の検索と生成を組み合わせることで、ビジネスでの情報活用をより便利で効果的にする技術です。
また、システム連携では生成AIの機能を既存の業務システムやワークフローと組み合わせることに、日常業務をよりスムーズに効率化可能です。例えば、生成AIの機能をチャットツールやCRMシステムなどに組み込むことにより、従業員は生成AIツールを開くことなく、普段使っているツール内で生成AIの利便性を享受できます。

AINOW編集長 小澤 健祐氏からのコメント

小澤 健祐 | Kensuke Ozawa
AINOW編集長

生成AIの活用においては、従業員体験(EX)の視点 が最も重要です。 今までの生成AI活用では、ChatGPTなどの既存の生成AIツールを活用したり、社内向けの独自の生成AI環境を構築することが一般的でした。 しかし、これからはプロンプトを書かなくても良い時代、わざわざ生成AIツールを活用しなくても良い時代が訪れると考えています。 そのためには、私たちのそれぞれの業務シーンの中に、自然と生成、AIの機能を溶け込ませ、各従業員が意識せずとも生成、AIの恩恵を享受できるそんな生成AIの活用浸透が求められていると感じています。

Lightblue Assistantのご紹介

Lightblueは、社内活用に特化し、自然に生成AIを活用できるツールとして、AIアシスタントサービス「Lightblue Assistant」を提供しています。BoxやGoogle Driveなどの様々なデータソースと連携し、独自データを活用するRAG機能を標準機能として備えています。これにより、必要な情報の検索や文書の生成を迅速に行うことが可能です。また、ブラウザだけでなく、SlackやTeamsなどのチャットツールからも利用でき、従来に比べて幅広い業務に生成AIを活用可能です。

サービスURL:https://www.lightblue-tech.com/lightblue-assistant/

Lightblueでは、企業が生成AIのポテンシャルを最大限に引き出し、業務効率の大幅な向上と競争力の強化を実現するために、RAGの導入を今後もサポートしてまいります。

株式会社Lightblueについて

社名:株式会社Lightblue
設立:2018年1月
代表者:代表取締役 園田 亜斗夢
所在地:東京都千代田区神田駿河台2丁目3-6  CIRCLESお茶の水5F
顧問:鳥海不二夫(東京大学大学院工学系研究科教授)
事業内容:画像解析・自然言語処理AIを軸にソリューションを開発。
・SlackやTeamsにて利用できる法人向けAIアシスタントサービス「Lightblue Assistant」
・人物にフォーカスした画像解析システム「Human Sensing」
Lightblueコーポレートサイト https://www.lightblue-tech.com/
LightblueのLLMモデル(Hugging Faceリンク):https://huggingface.co/lightblue/aokarasu-72B

関連記事